びょうぶのトラ
むかしむかし、一休さん (いっきゅうさん)と言う、とんちで評判の小僧さんがいました。一休さんのとんちの評判を聞いて、殿さまがお城に一休さんを招き入れました。
「さっそくじゃが、そこにあるびょうぶのトラをしばりあげてくれぬか。
夜中にびょうぶから抜け出して悪い事ばかりするので、ほとほと困っておったのじゃ」
もちろん、ひょうぶに描かれた絵のトラが出てくる、うそに決まっています。
しかし有名な絵描きが描いたのでしょうか、びょうぶに描かれたトラはキバをむいて、今にも襲いかかってきそうでした。
夜中にびょうぶから抜け出して悪い事ばかりするので、ほとほと困っておったのじゃ」
もちろん、ひょうぶに描かれた絵のトラが出てくる、うそに決まっています。
しかし有名な絵描きが描いたのでしょうか、びょうぶに描かれたトラはキバをむいて、今にも襲いかかってきそうでした。
「本当に、すごいトラですね。
それでは、しばりあげてごらんにいれます。
なわを、用意してください」
「おおっ、やってくれるか」
「はい。もちろんですとも」
それでは、しばりあげてごらんにいれます。
なわを、用意してください」
「おおっ、やってくれるか」
「はい。もちろんですとも」
一休さんはそう言うと、ねじりはちまきをして腕まくりをしました。
そして家来が持ってきたなわを受け取ると、一休さんは殿さまに頼みました。
そして家来が持ってきたなわを受け取ると、一休さんは殿さまに頼みました。
「それでは、トラをびょうぶから追い出してください。
すぐに、しばってごらんにいれます」
それを聞いた殿さまは、思わず言いました。
すぐに、しばってごらんにいれます」
それを聞いた殿さまは、思わず言いました。
「何を言うか! びょうぶに描かれたトラを、追い出せるわけがなかろうが」
すると一休さんは、にっこり笑って言いました。
すると一休さんは、にっこり笑って言いました。
「それでは、びょうぶからはトラは出て来ないのですね。
それを聞いて、安心しました。
それを聞いて、安心しました。
いくらわたしでも、出てこないトラをしばる事は出来ませんからね」
それを聞いて、殿さまは思わず手を叩きました。
「あっぱれ! あっぱれなとんちじゃ! ほうびをつかわすから、また来るがよいぞ」
こうして一休さんはたくさんのほうびをもらって、満足そうにお寺に帰りました。
おしまい
Byōbu
no Tora
Mukashi mukashi, Ikkyū-san (ikkyū-san) to iu, tonchi de hyōban no
kozōsan ga imashita. Ikkyū san no tonchi no hyōban o kiite, tonosama ga oshiro
ni Ikkyūsan o maneki iremashita.
“Sassoku
ja ga, soko ni aru byōbu no tora o shibariagete kurenu ka. Yonaka ni byōbu kara
nukedashite warui koto bakari surunode, hotohoto komatte otta no ja."
Mochiron,
hyoubuni kakareta e no tora ga detekuru nante, uso ni kimatte imasu.
Shikashi yūmeina ekaki ga kaita nodeshou ka, byōbu ni kakareta tora wa kiba o
muite, imanimo osoikakattekisōdeshita.
"Hontōni, sugoi toradesune. Soredewa,
shibariagete goran ni iremasu.Nawa o, yōi shite kudasai' "
"Oo~, yatte
kureru ka."
"Hai. Mochirondesutomo."
Ikkyū-san wa sō iu to, nejiri hachimaki o
shite udemakuri o shimashita. Soshite kerai ga motte kita nawa o uketoru to,
Ikkyū-san wa tonosama ni tanomimashita.
"Soredewa, tora o byōbu kara oidashite
kudasai. Sugu ni, shibatte goran ni iremasu"
Sore o kiita tonosama wa, omowazu
iimashita.
"Nani o iu ka! Byōbu ni kakareta tora o, oidaseru wake ga
nakarouga"
Suruto Ikkyū-san wa, nikkori waratte iimashita.
"Soredewa, byōbu kara
wa tora wa detekonai nodesu ne. Sore o kiite, anshin shimashita. Ikura watashi
demo, detekonai tora o shibaru koto wa dekimasenkara ne."
Sore o kiite, tonosama
wa omowazu te o tatakimashita.
"Appare! Apparena tonchija! Hōbi o
tsukawasukara, mata kuru ga yoi zo"
Kōshite Ikkyū-san wa takusan no hōbi o
moratte, manzokusō ni otera ni kaerimashita.